Q1. ブランドのコンセプトは?また、特にこだわりを持っている部分は?

全ての工程を自分の手で行なっている

佐藤:ノブさんの作るジュエリーのクオリティの高さに、いつも驚かされています。制作する上で、特にこだわりを持たれている部分はどこにありますか?

nobu氏:ありがとうございます。改めてそう言われると少し照れますね。。苦笑。ですが、クオリティには自分でもすごく自信を持っています。こだわりといえば、全てにおいてこだわっています。という返答しか出てこないのですが、具体的に言うと、出来る限り自分の手で全てを作り上げているところです。

佐藤:全てというと、企画、デザイン、はもちろん制作工程の全てということですか?

nobu氏:そうですね。出来る限りなので物理的に仕方なく、100%では無い部分は正直ありますが、例えば、通常既製品で賄えてしまう留め具の中身や細かいパーツなどもオリジナルで自分の手で制作しています。このバネの部分なんかは、こんな動きをさせたいという考えがあって、機械とかで溶接してしまうと全体的に火が回ってしまうので、自分でその工程も行なって、考えている動きを忠実に出せるようにしています。

佐藤:そのような部分までご自身で行なっている方は世界的に見ても、僕は知らないです。自身の技術を極限まで磨いて、その技術力を信頼し一つ一つ制作しているのですね。この曲線も、もしかしてご自身で曲げているのですか?

nobu氏:はい。自分の手で曲げています。この曲線は機械じゃ出せない、僕ならではの曲線美を表現しています。聞いた話ですけど、他のジュエリーの職人さんでもこの曲線は表現出来ないそうです。

佐藤:確かにすごく綺麗です。デザインするにあたり何かインスピレーションされるモノはありますか?

nobu氏:シーズンによっては馬具からのインスピレーションを元に制作したりすることもあります。根底の部分では、やはり線の美しさを追求しています。人の手からしか生み出すことの出来ない線の美しさです。

佐藤:線の美しさですか?表現がむずかしそうですね!ご自身のお名前をブランド名に据えたのはどんな想いがあったのですか?

nobu氏:自分の名前をブランド名にしたきっかけのひとつとしては、日本の職人の技術力の高さを世界にアピールしたいという想いがあります。近いところで、動いているプロジェクトとしては、ニューヨークのレストランから依頼を頂いて、箸置きやナプキンリング、コースター、ハンドソープのカバーを制作しました。そこのレストランは他のものも全て日本の職人さんが作られたものを使用しています。そこから職人さんの技術力の高さを発信出来たらいいなと考えています。

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Q2. ご自身のブランドにハマるスタイルとは?

スニーカーと共通していて、枠はありません。

佐藤:ファッションは十人十色かと思いますが、幅広く支持されている中で強いて一番ハマるスタイルってどんなスタイルだと思いますか?

nobu氏:期待外れで申し訳ないかもしれないけど、この質問に関しては自分の中ですごくシンプルな答えがあって。

佐藤:全然大丈夫ですよ。どんなご意見ですか?

nobu氏:僕が今制作しているジュエリーに枠はありません。これは25年以上ジュエリー作りに携わった結果の中で導かれた一つの答えですね。

佐藤:なるほどですね。長いご経験や実績にしっかり裏付けられた、とても説得力の強いお答えだと思いますし、、むしろ想いとも捉えられました。

nobu氏:スニーカーにも少し共通点があるなと思っていまして、例えばスポーティーなスタイルやストリートスタイルだけという事では無く、スーツやエレガントなスタイルにもスニーカーって普通に合わせられるじゃないですか。その流れと同じ様に僕のジュエリーもスタイリングに枠は作っていないので、自由にどんなスタイルにもハマるし、身につけて頂けると考えています。ポップアップや展示会にご来場頂いた方も身につけてみて、自分に今まで無かった新しい合わせ方とか、自分に合うものを発見して頂くことも多くあります。

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Q3. BILLY’S ENTの印象は?

今までにないジャンルとの取り組みを積極的に行っている

佐藤:nobuさんとお話しさせて頂くようになって数年が経ちますが、何度もご来店頂きありがとうございます。意外とこの質問したこと無いなって思いこの機会に改めて伺いたいです。BILLY’Sという店にどんな印象をお持ちですか?

nobu氏:お店の雰囲気が好きです。靴屋さんなんだけど、アートを飾っていたり素敵なソファが置いてあったり、内装にこだわっていますよね。

佐藤:ありがとうございます。実は、そこがBILLY’Sのこだわっている部分でもあるので、すごくうれしいです。もちろん主役は靴なのですが、内装や雰囲気作りを良くしてお客様にリラックスして買い物を楽しんで頂きたいという思いがあります。

nobu氏:色んなジャンルが多くある感じでもなく、しっかりセレクトされているから安心して見られてとても見やすいと思います。それと、お客さんの雰囲気もどちらかというとファッションが好きそうな人達が多いなって印象です。

佐藤:おかげさまで、ファッションが好きな方達にも支持を頂いています。そこの部分はこれからもっと色濃く発信していきたいとも考えています。

nobu氏:そこまで詳しく無いけど、日本ではそういったお店ってあんまり無いと思うから、すごくいいと思っています。褒めすぎかな?笑。ホントに思ったことだからいいよね。

佐藤:いえいえ、素直に嬉しいです。ありがとうございます!

nobu氏:一番印象強いのが、異業種というか別のジャンルとの交流をとても積極的に行っているなって思っています。アートもそうだし、この間はアイスクリームでしょ。僕のブランドとのコラボレーションもある意味異色だと思います。世界的に見るとそういう交流を行なっているお店はあるから、そういった部分も早く取り入れて新しいスニーカーショップのスタイルというか形を打ち出しているのがカッコいいと思います。

佐藤:だいぶ恐縮しちゃいます。難しい表現ですが、あえて考えて狙っているという感覚ではなくてチームで意見やアイデアを出し合った結果、その様な流れや企画が生まれてきているので、これからも色々企画していくと思いますので、期待していてください!

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Q4. 今回のコラボレーションの経緯及び意識した部分は?

スニーカーカスタマイズの新しいムーブメントを起こしたい

佐藤:今までに無い様なコラボレーションを快諾いただきありがとうございます。改めてお聞きしますが、なぜ引き受けて頂いたのでしょうか?

nobu氏:こちらこそありがとうございます。きっかけという質問の返答からは少し逸れてしまうかもしれませんが、そもそも洋服って自分でカスタマイズしやすくてある程度遊べるなって思っていて自分自身も革ジャンにピンズ刺したりしていました。もちろん既存のデザインを活かしてのカスタマイズですけど、スニーカーってそういった遊びの部分が少ないプロダクトだよなって思っていたんです。スニーカー自身をもっとオシャレにアップデートできるんじゃ無いかなって。僕は昔からスニーカーにもピンズ刺したりピンをシューレースのところに通したりハイカットを切ってみたり色々カスタマイズしていたので、こういう新しいムーブメントを作っていきたいなと思ったのがきっかけですね。

佐藤:新しいムーブメントを起こしたいですね。そういうの大好きです。今回、リング、バングル、ネックレスを5周年記念のコラボレーションという形で制作させて頂いたのですが、特に意識された部分はありますか?

nobu氏:意識した部分で、まず一番に考えたことはスニーカーの特性です。まず機能性ですね。一日中履いていても疲れないし負担にならないプロダクトだと思っています。そこの部分をリンクさせて、ずっと身に付けていても負担にならないジュエリーの表現を強く意識しました。

佐藤:確かに機能性はとても重要ですね。どれだけカッコいいデザインでも履きづらかったらテンション上がらないですからね。ジュエリーも同様ということですね。

nobu氏:海外なんかは家の中でも靴を履いている文化じゃないですか。だからどうっていう意味はないのですが、、1日中履いているという意味では海外の人のそこへの思考と要望は特に強いと思います。

佐藤:確かにそこの文化の違いは大きいですね。ただそれほどの意識でスニーカーをオススメしたいですね。1日中付けていてストレスが無いジュエリーも魅力的です。

nobu氏:出来れば、スニーカーに絡めたプロダクトを制作したかったのですが、今回5周年という大きなテーマを頂いて制作させて頂きました。ただ、実際の用途とは異なってしまいますが、今回のプロダクトもスニーカーに付けられますので、ポップアップ時には提案したいと考えています。むしろ付けて楽しんで頂けると嬉しいですね。実際友人の俳優さんもハイカットのスニーカーにピンズを刺したりして楽しんでくれています。

佐藤:ビリーズとしても新しい提案となるので、楽しみです。確かにnobuさんは以前からセルフカスタムしていらっしゃいましたね。

nobu氏:そうですね。なので異色かもしれないコラボレーションですけど、僕としては違和感ないです。スニーカーをもっと飾って楽しんでいきましょう。

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Q5. 最近のスニーカースタイルの気分は?またフェイバリットスニーカーは?

その日の気分が大きいです。

佐藤:nobuさんのスニーカー好きは以前から存じております。最近はどんなスタイルがお好きですか?

nobu氏:スニーカーに決めているスタイルは無いんですよ。毎日違うスニーカーを履くので、これっていうスタイルは決めて無いですね。10代の頃から履き続けているコンバースのオールスターやVANSはもちろんですけど、気分によってはハイテクスニーカーも履きますし、ハイブランドのスニーカーも履きます。ある意味ミーハーなところもあるので、今の時代のスニーカーも好きです。

佐藤:確かにそうですね。逆にそれがnobuさんのスタイルになっていると思います。スタイリングはどこから決めますか?

nobu氏:僕は必ず足元からスタイリングが始まります。それこそその日の気分で変わるので、スニーカーの幅はかなり広い方だと思います。

佐藤:足元からなのですね!すでにたくさん所有していると思いますが、最近何か購入されましたか?

nobu氏:最近購入したスニーカーはNIKEのテクノですね。スラックスにも合わせやすいし、決まりやすいです。

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Q6. 今後のスニーカー業界に関して期待することとは

これからも残り続けるスニーカーを生み出して欲しい

nobu氏:ハイテクスーカーやコラボレーション、ハイブランドのスニーカーのシーンが特に目立っていますが、進化や新しいものだけではなくて何十年も残り続けているスニーカーの様に、経年変化を楽しめるスニーカーをもっと生み出して欲しいです。

佐藤:確かにそうですね。いわゆる5G時代に突入し、情報のスピードや色々なものの処理能力やガジェットが進化していく時代の節目で、次世代の定番スニーカーは僕もとても興味があります。

nobu氏:そうですね。例えば制作工程や素材の話だと、同じゴムでも履いていると曲がってしまうゴムを使用していた時代もあったと思います。近年では曲がらないゴムも開発されて、ほとんどのプロダクトに搭載されている印象があります。技術の進化はすごく良い事だとは思うので、否定する意味ではないのですが、僕は履いていくうちにゴムが曲がってしまうところも味と捉えるので、好きです。好き嫌いは人によって当然あるということも理解しながらですけど。

佐藤:進化して欲しい部分や進化しないといけないところがありながら、昔ながらの良い製法や良い素材は残さないといけない部分はあると僕も思います。今のトレンドや、ニーズの部分も考慮するとスニーカーショップとしては難しいジャッジになりますが、個人的にはとてもよく分かります。

nobu氏:ジュエリーも同じです。メッキ加工をすれば綺麗になりますし、長持ちもします。ですが、あえてその加工をしていないプロダクトはオーナー次第で味が出せるジュエリーになるので、経年変化という部分ではスニーカーととても共通していると感じています。

佐藤:時代の流れも感じて捉えていかないとですしね。

nobu氏:もちろんそうですよね。ただ前途した通り、そんな時代だからこそ日本の職人の技術の高さがあれば、世代を超えたプロダクトは十分生み出せるので、発信していきたいですし、僕は自分の技術力に誇りを持っています。

佐藤:日本の職人さんたちの技術力の高さは世界から注目されていますので、同じ日本人として僕も誇らしく感じています。

nobu氏:すみません、少し話が逸れてしまいましたね。なので、期待する事は進化だけではない古き良き部分を継承したプロダクトが生み出され、相応の評価をされるシーンがもっと出来る事です。

佐藤:作ることは不可能ではないと思うので、評価されるという部分がとても肝だと思います。スニーカーショップとして、然るべきタイミングで良い発信が出来るよう考えておきます!

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