tomoyuki onozuka the tenderloins designer 東京に生まれ東京で育ち数多く得た経験。そして、海外に渡り様々な名カルチャーに触れ、得た経験を経てもなお一貫した芯はブレない。まさに日本生粋のクリエイター。多くの仲間達から「オノゲ」の愛称で親しまれ、メイドインジャパンに強くこだわりを持ち、氏のブランドらしい魂の入ったプロダクトを生み出している。あまりメディアには露出の少ない小野塚氏が、アイテムに対する想いや物作りへの想いを熱く語ってくれた。

Q. 今、一番楽しいことはなんですか?絵を起こす作業、プロダクトを考案する作業が最高

一番楽しい事は何ですか?というシンプルで、ある意味抽象的な質問に対し真っ先に出てきた事が「洋服作り」
絵を起こす作業、プロダクトを考案する作業が最高な事と語る。 「若い頃にはそれなりに苦労もした。時間が経って今に至って、昔と変わらず洋服作りに向き合っている事が幸せだよ。」と短くも力強い言葉で語ってくれた。 他にも、「サーフィン」「バイク」「子供との時間」が小野塚氏を満たしている事とのこと。 「バイクの楽しみは、乗ってる時といじってる時と半々かな。形の正解は数少ないけど、自分の中でのこだわりを少しずつでも変えたくなるんだよね。それはその時の気分で。サーフィンは子供の頃から30年近くずっとやってるけど、飽きない。怪我もあって1年ぐらい入らなかった年はある、海外に行った時も入らなかった、というかその時は入る気が起きなかったんだよね。だけど、気持ちが完全に離れた訳ではなかった。」と話しながら、何の恥じらいや引け目も無くこう続けてくれた「俺は起用じゃないんだよね。何かに対してそれどころじゃない時もあるんだよ。」と、小野塚氏は語ってくれたが、話している真剣な表情や力強い言葉に、何かに対して真正面から向き合った時には、他が入って来れない程の集中力でひとつの事に向き合っているんだな。と感じた。そんな小野塚氏から生み出される「洋服」は説得力が違う。その事を一番楽しい事と語ってくれた小野塚氏。

Q. 贅沢な時間はどのような時ですか?最高な事、全て揃っている環境がまさに贅沢

膨大な量の仕事をこなしながらも、人並み以上に海にも入り続けている小野塚氏。多忙な生活の中で小野塚氏が感じる贅沢な時間とは「サーフィン、バイク、仕事、子供や仲間達との時間、全てが揃っているこの環境に居る事が贅沢。」
多忙を当たり前の様に受け入れる姿勢、というかむしろ氏の方からそこに向けて走り続けている印象。「途中で休む事が苦手で、常に体や頭を動かしていたいんですよね。日々勉強しないとね。わかんらないことだらけだからね。」
と苦笑いしながらタバコに火を付ける小野塚氏。欲を満たす時間が贅沢なのでは無く、心を満たす時間が贅沢という。「ストイックに物事に向き合ってる時間もまた贅沢な時かな。自分の中で自由は無いと思っているよ。その中でどうクリエイティブな仕事を生んでいけるかを探る時間も贅沢な時かな。」

Q. 大切にしている思い入れのあるアイテムはありますか? また、それはどんなものでしょうか?乗りやすいとか履きやすいとかじゃない、自分自身が自分の基準で選んだ物と共に過ごしてきた

「正直そんなに物欲無いんだよね。物に執着しないというか。もちろん大切なアイテムだらけだけど、そこまで執着心は無い。」と自信のガレージを見渡しながら語る。「もちろんバイクは手放さないし、常に気になる存在。周りからすればホントくだらない所にこだわっているなと言われても仕方ないよね。くだらない部品ひとつでも、これじゃなきゃダメなんだよって。(笑)」と物への思いを語ってくれ、こう続けてくれた「その小さくてくだらないこだわりは何にでもそうかも。サーフィンや洋服作りとかね。」と実は思い入れが深い事が垣間みれた。「欲しい物は大体ガラクタ。それは子供の時から何も変わらない。大人になって金稼いだら欲しいなって思う物も高級時計や高級な車でもなく、別の人から見たらガラクタかもしれない。価値観の違いだけど、それでいいと思ってる。流行に振り回されず、自分の目で見て来たモノを追求する。今になって昔から見てきたモノは間違ってなかったなって少しだけ思えてるんだよ。ただ、その中でも本物はいるから。その人達はホントにスゴい勉強してるし俺も勉強になる。そんないわゆるインテリの人達とも今では仕事をさせてもらってます。」本質が見えてきた気がした。とにかく一切のブレがない小野塚氏。自分の信念の基に集めた物、集まってくる物や人。すべて自分の責任。そこに自信が溢れるが得意げは全く感じない自然体で語ってくれた。「サーフィンの板もそう。昔スポンサーを断って、近所に転がってた古い板に乗ってた。もちろん乗りやすいとかはほぼ無くて。ただ、それがスゴい新鮮で。そこから今の板を削ってもらう作業が始まってる。」と小野塚氏らしいエピソード。今年からは吉川拓也シェイプのサーフボード“no wave surfboard”をスタートしたとのこと。小野塚氏の物に対する思いが続く「バイクにしてもサーフィンにしても乗りやすさを求めてなくはないですが、見た目の好き嫌い、持った感じやまたがった時の見え方。結局自分の好みなんですけど、乗りにくい物を乗りこなすのも面白さです。どこかが劣っていてもどこかが突き抜けている方がいいな。靴もそう。VANSは決して履きやすいわけじゃない。でもいいんだよね。平均的なプロダクトには全く魅力を感じない、どこか突き抜けてるプロダクトに魅力を感じるんだよね。それは俺自身そのもの。俺もかなり偏った人間。だけど、尖った部分はかなり頑張ってる。」共に過ごしてきた数々のプロダクトは自身を成長してくれるために、平均的では無くどこか不器用なプロダクトを好んできたのかと思うが「そんな事は無いんだよな。そこまで考えてない。ただ、好きなだけなんだよ。B級品が好きなだけ。」と、極めてシンプル。ただその中に共に過ごすプロダクトへの強いこだわりが見えた。シンプルなだけにとても力強く。

Q. 共に過ごしてきた思い入れのものはありますか?子供の頃からずっとVANSを履いてたな

子供の頃、アメリカに行った時に直感で感じたというVANSとの出会い。
「当時、選択肢はそれしか無かった。もちろんいろんなメーカーの靴も履いたけど、結局VANSが多かったですね。15,6歳の時にしてた格好が今の若い子達がしてるよね。黒のall starにライダース着て。そん時は海行った時に仲間にバンドマンて言われてました。(笑)」気づいたら選択肢がVANSしかなかったと小野塚氏。それは今も変わらないという。
「昔と変わらない部分は多い。ホント変わらない。それを今の若い子達に受け入れてもらえてるだけ。」
ただ、見てきた物は本物という自信。それは国内は当然だが、海外でも同様。「昔から東京で色んな物を見てきた。リアルにストリートに居た。」そんな小野塚氏が直感で感じ、共に過ごしてきたVANSのプロダクト。またその理由も、どこがどうとか何が良いとかでは無く、極めてシンプル「好きだからだな」

Q. BILLY’Sでこのシューズを選ばれたのはなぜですか?VANSのオリジナルな色や形が好き。ERA、AUTEHNTIC、SK8-HIが多いかな。歳取っても履き続けるんだろうね。

「VANSのオリジナルな色や形が好き。もちろん色んな靴も履いてきた。正直履き心地でいったら別の選択肢もあるよ。だけど、VANSからは離れられないかな。歳取っても履くんだろうね。」VANSへの想いも純粋な小野塚氏。
芯が強く真っ直ぐな性格ゆえ、正直に語ってくれる小野塚氏。ただ、選択する理由もまたシンプル。物事の本質を見抜く力や見いだす力。そこに対しての対応や手段もややこしい事はひとつも無い。もちろん一筋縄ではいかないこともあるが。
「日本人のプライドを持って洋服作りをしながら、カッコつける所は自分の思う芯の部分だけ。余計な事はいらない」
そんな小野塚氏が選ぶVANSのSK8-MIDのブルーカラー。スポットアイテムではあるが、一つ一つのディティールにこだわりを感じるのが選んだ理由のひとつ。

Profile

小野塚智之 / ONOGE

「メイドインジャパン」というプライドを持ち、こだわり抜いたプロダクトを生み出しているオノゲ氏こと小野塚智之さん。本質のみを追求しそれに共鳴した仲間とTHE TENDERLOINを展開、日本人のきめ細やかさやセンスの良さを世界へ発信している。VANSのライダーとしても長きに渡り活躍を続けている。