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80年代後半からクラブシーンにおいての最重要人物の一人として、
誰しもが知る敏腕トラックメイカーであり、レジェンドDJの川辺氏。
今もなお、第一線で活躍されている氏のクリエイションする上での楽しみとは?
「昔は色々な事に興味があって、多くのアンテナを立ててましたけど、
今はかなり削いで削いで、[音楽]と[食]ぐらいになりました。
それが自然になっていったというか、別のアンテナが自然となくなっていった感じですね。
音楽に関しても、意識してなくても反応してしまう。
要は好きなんですよね。
自然と集まっていったモノを自分の中で咀嚼して組み上げていく作業を
しているだけなんですよ。もちろん、んーって悩む事もありますし、
簡単に曲は作れませんが、昔ほど気負って作るという事は良い意味で無くなりましたね。」
好きな事を追求する。まさに自然な流れをそのままクリエイション
にして生み出し、多数の人の共感を得て気持ち良く受け入れられていく。
それは、なかなか味わえない感覚であろう最高な瞬間であり至福の時な事に違いない。
「作曲する時のシチュエーションや気持ちの持ち方は様々で、
昔はそれこそネタをたくさん集めてスタジオに篭ったりもしていました。
そこから生まれたモノはもちろん今でも大好きな曲ばかりです。
今も昔も、曲が完成した時は一番楽しいですね。
見えてなかったモノが一気に前が明るくなって見えてきた
瞬間はいつまで経っても最高です。」
曲を作るにあたり、聴き手の事を意識しているのかなと
ふと疑問に感じて、考えますか?と聞いてみた。
「作る時に変な意味ではなく、聴く人の事はあまり考えないですね。
というのも、一番の聴き手は自分自身なので。
どこかにいる自分を想像しながら、他の誰にも出せない感じを
意識して、自分が好きな感じを追求していますね。
最近ビックリしたのは、10年前に僕が出掛けたROSSOのリミックス音源が、
今年のUFCの煽りVに使われたことですね。」
ROAD TO UFC: JAPAN https://www.youtube.com/watch?v=5DnNbaFTDE8
どの曲も素晴らしく、自身の思いが詰まっているとは思ったが、
あえてどの曲が心に残っているか聞いてみたところ
心温まるこんなエピソードを話してくれた。
「昔、藤原ヒロシくんと作ったHIROSHI II HIROSHIのアルバムのカセットテープを、僕の親父が
ずっと車の中で聴いてくれていたんですよ。 ホントにずっと。
たまに地元に帰って親父の車に乗ると突然それをかけてきて。
親父にとっては日常的な感覚ですが、僕にとってはなんとなく
照れ臭さもありましたが、すごく嬉しかったですね。」
朝も昼も夜も関係なくスケジュールが日々組まれている氏の
プライベートでの贅沢な時間が気になる。
「仕事で地方に行った時に最近は必ず1日追加して
プライベートな時間を作っています。その土地のラジオを聴いてみたり、
地元の人に教えて貰った居酒屋さんに行ってみたり。
行った事の無い知らない土地に何も知らないまま出向くのが
子供の時から大好きなんですよ。
路地裏を歩いている時なんかは最高ですね。
なんでこんなところにこんなのがあるの!?とか、
ここ、どうやって作ったの?とか、とにかく楽しいですね。
最近は特に、行った気になれるご時世じゃないですか。
でもそうじゃなくて行かないと分からないモノや感じられない事って
多いと思うんですよ。匂いとか空気感とか、言ってしまえばホコリっぽさとか。
そこに行って初めて感じられる事が好きですね。」
知らない土地を歩いて、空気を感じる。なかなか頻繁には
出来る事ではないと思う。それを実行に移し、割と頻繁に行っている
氏の特に良かった路地が気になった。
「間違いなく、宮古島ですね。いつ行っても発見の連続です。
なんでこの壁なの!?なんだこの建物!?とか、
道路とか、ここになんでこれがあるの!?とか、とにかくスゴイです、あそこは。
毎回驚かせてくれますね。ホント大好きです。」
贅沢な時。人それぞれ感じるモノや考えは違うけど、
クリエイターの人の探究心や何か新しいモノを感じていたいという想いが
自然に行動に移っているということが感じ取れた。
「プライベートだけではなく、仕事でも重要なモノですが、
やっぱり僕にとって思い入れの強いモノはレコードですね。
今でも、それこそ旅先でレコード屋を見つけると入って、
何かないか探してしまいますね。それこそ自分にとって必要なモノを
探す作業は一苦労ですよ。苦笑」
想像もつかない程の枚数持たれているレコード。どれも氏にとっては至高なモノ。
「自分で言うのもアレですけど、自分にとっては
最高なレコード屋が家にある感じですね。
俯瞰で見てみると、ここのレコ屋最高だなーみたいな。笑」
もちろん、氏にとって必要がないモノもあるという。
膨大な数の中からセレクトし、DJとしてお客さんに届ける。
時には自身で聴くことももちろんある。
1枚でどれだけの人を幸せに出来るかと考えると、なんか楽しくなった。
音楽を仕事にする。話を伺っていくと、それは自然な流れで、
もちろん為るべくしてという事が分かっていった。
「子供の頃からスピーカーとかカセットデッキとかターンテーブルとか、
とにかくオーディオ機器が大好きだったんですよ。
中学生の時にオーディオ講座に行ってみたり、それこそオーディオメーカーに
就職を真剣に考えるくらい。
でも回路図とか僕には難しいって事が分かってすぐ断念しましたけど。苦笑。
中学生の時に当時自分が好きだった機器を集めて音楽を聴いていましたね。
それが一番の至福の時でした。
その時に流れていたラジオを子供ながらにセレクトして録音した
テープが膨大にあるんですけど、今聞いてもスゴく良いんですよ。
今考えるとそれをやっていた14歳くらいから18歳の4年間が
今の僕を形成していますね。ヒットチャートには全く興味が無く、パンクとか
ニューウェーブにどっぷりハマっていましたからね。
それ考えるとちょっとこわいですね。笑」
中学生の時から機器にこだわりを持って自分でセレクトした
音楽を聴いているというエピソードは初めて聞いたので、
上り詰める人というのはやはりそういう事だなと思った。
さらにこう続けてくれた。
「このUREIは僕がまだ若い時にDJをやらせてもらっていた
青山のミックスというクラブにあったミキサーなんですよ。
当時からずっとこのUREIで何時間もプレイしていたんですよ。
結果、何十年も。なので、このミキサーを通った音をずっと聞いていたので
自然と、自分の中では生涯外せないモノになっていますね。
ヘッドホンに関してはそこまで拘りがないのですが、
シーンと用途に分けて10個ほど持っています。
散歩用のインナーイヤーですとか、旅行用のノイズキャンセリングの
ものとか、低音がガッツリ出るものとか、もちろんDJする時用など。
要はやっぱり好きなんですよね。」
「2年くらい前の夏にこの靴(AIR WOVEN)に出会って、
履きやすさはもちろんですが、どちらかというと鍛える意味で
この感じにハマっていますね。
これも同じアウトソール使っているから、散歩好きな僕にはピッタリなんですよ。
ホントにスゴい距離を歩くんですよ、僕。
なので、もちろん疲れますが、それが心地良いんですよ。
このアウトソールは好きですね。
もちろん夏にDJやる時も履いていますしね。」
当然ながら、氏がこれまでいた環境から良質なモノを選別する目と
引き寄せる感覚を持ち併せている中で、セレクトしているアイテムには
それ相応の理由や裏付けがある。
突き詰める、突き抜けるという事はとても難しものだと思っていた。
もちろん氏にとっても簡単な事では無かったとは承知しているが、
為るべくして為るんだなと嫌な意味では無く自然に感じ取れた。
ルーツを垣間見れた気がして、すごく貴重なお話を聞けた。
Photo : Yozo Yoshino
KAWABE's CHOICE ITEM : NIKE FREE FLYKNIT NSW
TOKYO No.1 SOUL SETの屋台骨を支えるトラックメイカーであり、
そのバックグラウンドに不可欠なクラブDJとしての長いキャリアの中で数多くの
伝説的なパーティーのフロアを沸かせてきた。
藤原ヒロシとの“HIROSHI Ⅱ HIROSHI”、クボタタケシとの
“SONS OF NICE YOUNG”(1996年)、DJ KENT (FORCE OF NATURE)、
笹沼位吉(SLY MONGOOSE)との“GALARUDE”や、石野卓球とのユニット“InK”としても活動中。
プロデュースワークとして、小泉今日子他多数。TV、映画音楽、CM楽曲なども手掛ける。
代表的なリミックス・ワークは勝手にしやがれ、ROSSO、ハルカリ、UA、フィッシュマンズ、
藤原ヒロシ、TEI TOWA etc. そのどれもが必聴である。
http://www.t1ss.net/news/member/kawanabe-hiroshi