アーティストを志したきっかけ

佐藤「将さんがアーティストを目指そうと思ったきっかけってどんなところにありますか?」

将氏「自分のじいちゃんが働きながらですけど、絵を描いてまして。その影響が一番大きいですね。じいちゃんは働きながらだったんですけど、僕はこれで食べていこうと思っていました。」

佐藤「お祖父さんの影響が色濃いんですね。では幼少の頃から日常の中にそういったアートに触れる機会があったということですかね?」

将氏「そうですね。小さい頃から、クーピーペンシルとスケッチブックを与えてくれていて、じいちゃんがくると美術展に連れて行ってくれたりしてたのが大きいですね。」

佐藤「素晴らしい環境ですね。なるべくしてなったというか。一番最初のお仕事って覚えてらっしゃいますか?」

将氏「一番初めの仕事として描いたのは、お店のTシャツのデザインを頼まれたのが初めてですね。当時はMACが高かったので、アナログでしたね。」

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音楽との関わりについて

佐藤「僕が持つ将さんのイメージとして、ハードコアが好きというのが、印象が強いですね。何かそこからインスパイアを受けて作品に反映されることもあるんですか?」

将氏「ロック全般を聞くのですが、ハードコアがとても好きで、元はパンクとロカビリーから入って、より重い音になってくるんですけど、ライヴでモッシュするのも好きなんですけど、制作しているときに真っ白な状態から作るので、自分を掻き立てないといけないというのと、各作品作品に反骨心というか僕が喋るよりも作品を見て感じてもらう方が音楽と同じで伝わるのかなと思って、よりヘビーなものがすごく好きになりましたね。」

佐藤「確かに、作品からそのイメージは伝わります。他のジャンルも聴きますか?」

将氏「制作していないときは古い音楽も好きなので、JAZZとかをかけているんですけど、基本的に制作しているときはオンタイムなので一人で乗っちゃうくらいモチベーションを上げて、ゴリゴリでやっている感じですね。」

佐藤「アトリエにお邪魔させて頂くときも必ずと言っていいほどロック系の音楽が掛かってますよね。横の繋がりというか音楽系のお仲間も多いイメージがあります。その方達とどんな風に過ごされて、その中から生まれるものもあるんですか?」

将氏「ミュージシャンの友達も多いですね。いつも、たわいのない話をしているんですけど、その中で新譜の音を聞いたりとか作っている時の苦悩というか葛藤などのプロセスを聞くと、僕的には絵と通ずるものがあるので、常に刺激を受けます。そして音を聞いて制作をしているとその時のイメージがリンクアップしてきますね。」

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佐藤「ご自身の作品以外にも、オファーが絶えないですよね?その時もスタンスは崩さすですか?」

将氏「有り難いことに仕事として絵を描かせて頂いたりするので、絵のテーマが二面性ということなので可愛い絵もハードな絵も描いているんですが、音のカルチャー的なものは入ってきますね。」

佐藤「今でもライブハウスに行ったりします?」

将氏「ライヴにはパワーをもらいに行きますね。ミュージシャン達が一番カッコいいところなので、魂に入ってくる感じがして。」

佐藤「制作中でもですか?」

将氏「はい。制作の最中でもタイミングがあえば、ライヴには行くようにしています。」

佐藤「お話を伺って、さらに音楽とは切っても切れない縁を感じます。だからと言ってしまうと受け売りに聞こえてしまうかもしれませんが、将さんの作品からは魂を強く感じますね。」

将氏「生の絵はゼロから描いている訳で、自分にしか出来ない細かいディテールというか、パソコンとかでは表現できないぞという気持ちも含めて。SNSでポストするときに”魂をぶつけろ”ってつけています。自分が落ちていたりとかキャンバスに向きあっていると色々あって。どんな作家さんもそうだと思うんですけど、自分との葛藤としっかり向き合っていて。もっと多くの人に知ってもらいたいとか、この絵を見て感じてもらいたいとかみんなが吸い込まれるようなものを描きたいので、一筆一筆、魂を込めて作っています。」

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アートへのこだわり

佐藤「きっかけは幼少の頃と先ほど伺いましたが、実際この世界に入ったのはどういった経緯ですか?」

将氏「元々デザイン事務所に遊びに行って、そこに入り浸っている生活をしていました。その当時アナログというものが存在したので、ちょうど今のデザインというよりかは昭和スタイルのデザイン会社が多かったですね。そこで色んなテイストの挿絵が残っていたので、独学で覚えて行ったという感じですね。」

佐藤「将さんといえば、コラージュの技法がとても繊細で素晴らしい作品を作る、という印象があります。始めてからはどのくらい経ちますか?」

将氏「ありがとうございます。コラージュを始めてから10年経ってないですかね。より作品としてのクオリティを上げたいというのでやり始めました。ペン画でも色んなエキシビジョンとか出させてもらっているんですけど、テイストで言えば似たようなのが描けるというのがあって、自分の個性を見い出すために色んな作家さんは、もがくと思うんですけど、そういうときにヴィンテージのコミックスとか古いものが好きだったのでそういうの使って、より具現化した作品作りができないかなって思ったのがきっかけですね。」

佐藤「常に進化されている作品にはそういった思いと向上心が成せるものなんですね。ビリーズとしても、その精神を勉強させて頂きます!描かれるモチーフも独特でとても好きです。」

将氏「いえいえとんでもないです。モチーフをキャンバスに落とすときは依頼があって描くときもありますけど、ブランドで自身が着たいものをいつも考えていますね。常に考えています。自宅でもトイレからどこにでも紙と鉛筆があってアイデアが出たときにラフでもいいので残しておかないと、次の日に頭の中にあっても描けないんです。」

佐藤「どこでもラフを描ける環境にしてるんですね。どのタイミングでインスピレーションが湧いてくるか分からない。つまりずっと絵の事を考えていらっしゃるんですね。今後の将さんの作品や動向を教えてください。」

将氏「今後やりたいのはアートとして、美術館とかそういうレベルにラインナップできるように日々努力をしてオリジナリティを追求して作品を残せていければと思っています。期待していてください。」

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今回のコラボレーションの経緯

佐藤「今回、VANSとコラボレーションモデルがアパレルとスニーカーとロンチされますが、どのような経緯でコラボレーションに至ったのですか?」

将氏「自身のブランドが20周年ということもあって。僕自身、元々アメリカの方でVANSのお仕事はさせてもらっていました。トリプルクラウンのクロージングだったりとか、国内でもVANS絡みの仕事を今までいくつかさせてもらっていました。」

佐藤「クロージングのお仕事よりハードルは高く感じましたか?」

将氏「そうですね。やっぱり靴のデザインというのは、VANSイコールというところがあるので、気合いがさらに入りましたね。幸いなことに今回靴をやらせて頂いて本当に嬉しく思っています。」

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今回の作品について

佐藤「今回はERAをセレクトしていますが、理由など伺ってもいいですか?」

将氏「このERAはVANSの中で自身が一番好きな形ということがあるんですけど、元々はAUTHENTICもよく履いていて、デザインを入れるときにヒールのデザインカットの縫製部分とかあったので今回ERAをさらに自分のスタイルに合う形で選ばせて頂いた感じですね。」

佐藤「特にこだわったポイントはどこですか?」

将氏「こだわりは2色という色使いですかね。赤と黒とあるんですけど、元々カルチャーもそうなのですけど、音楽的要素は、僕の中で絵を描いているときだったりにその背景の中で欠かすことのできないソースですので、そういう”音”みたいな部分をリアルに表現したので、プロダクツの中に感じてもらえたら嬉しいなと思いながら制作しました。」

佐藤「あえてのアウトソールへのデザインの落とし込みですね。すごくカッコいいと思います。」

将氏「アーティストさんがやる作品はアッパーにやることが多いと思うのですが、僕自身シンプルなものが好きなので、あえて表に出すというよりかはソールに入っていたりとかヒールに入っていたりとか、毎日履きたいものであってそういうところにアクセントが出ている方がシンプルなんですけど、内からくる強さみたいなのがクールかなと思ってデザインしました。」

佐藤「アウトソールにはどういうデザインを入れたんですか?」

将氏「アウトソールにまず、今回のキービジュアルとなる”男と女”をデザインしたかったので、クリアソールに仕様を変更しさらに背景に赤を入れてRockの主張を強くしました。」

佐藤「ヒールにはまた違う作品が落とし込まれていますね。」

将氏「ヒールも刺繍であえて入れてもらって、これも自分が本当に大切にしている作品で、デザインのひとつである”スワロー”です。このスワローは自分の身体にも刺青を入れるほど気に入っているデザインで、今回のキービジュアルと自分のアイデンティティとなるデザインをミックスした、現時点でのCloveruの最高作品だと思っています。」

佐藤「将さんのこだわり抜いた靴をぜひ手に取ってもらいたいですね。また、今回の為に1年掛けて描き下ろして頂いた将さんのARTがBILLY’S渋谷で展示されているので、ぜひ見てもらいたいですよね!」

将氏「あっ重要なこと言うの忘れてました。そのアナウンスは別途instagramで告知しますね。」

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Interviewer : BILLY'S ENT PR 佐藤  Photo : Akira Onozuka  Writer : Yusuke Kigawa (ALLTHUMBS inc.)