1. スニーカーコーデのスタイリングへのこだわり

ブランドの背景やパーソナル的な要素を重視してます

佐藤:「いろいろなスタイリングを手掛けている平本さんですが、どんなところにこだわりを持っていますか?」

平本氏:「リアルさを重視しています。その人らしさとかブランドの背景をしっかり把握して、僕なりに表現しています。例えば、基本的なことかもしれませんがなるべくブランドをミックスさせないで、統一させて世界観を合わせるとか、もし違うブランドを取り入れるにしてもカルチャーの部分も考慮して、そのブランドと相性が良いブランドのものを使ってスタイリングを組むようにしています。」

佐藤:「確かにカルチャーの部分に接点が無いと、スタイリングの相性が合わないかもしれませんね。それはそこまで知ってないとできないですね。その人らしさというところはどう表現していますか?」

平本氏:「これも基本的なことかもしれませんが、ストリートの匂いがする俳優さんにはストリートのものでまとめるか、どこかに必ずストリートのアイテムを取り入れます。インポートのアイテムをリースさせて頂く時もその俳優さんがストリート好きな感じとか雰囲気があれば、混ぜますね。着させられているような、その人じゃなくてもいいじゃん?ってなっちゃうのが嫌なんですよ。僕が目指している所とは違ってきてしまうので。」

佐藤:「平本さんの目指しているところはどこですか?」

平本氏:「自由に表現していきたいですね。もちろん見てくれる人ありきの考え方で、自由だからといって自分よがりな表現は避けたいです。見てくれたお客様にも響くようなというか、共感してもらえるようなことを目指したいですね。それには自分の企画力や提案力が重要になってきますので、ブランドさんのカタログのお仕事を頂いたりする中とかで自分らしさを表現したりして、日々勉強しています。」

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佐藤:「今、コレクションブランドが好きな方達もスニーカーは一大ブームになってますもんね。」

平本氏:「そうですね。先ほどストリートを取り入れる的なことを言わせて頂いていますが、仕事の内容として、ストリートではない方向性は出来ないんでしょ?って思われたくないんですよ、変な言い方かもしれませんが。やれば出来ますよってことは見せていきたいですね。」

佐藤:「すでにやられているとは思いますが、見てみたいですね。ご自身でスニーカーを軸にした場合どんなところに気を使っていますか?」

平本氏:「スニーカーに入っている差し色を計算してアパレルとか小物で拾ったり、トータルコーディネートでのスタイリングを考えています。スニーカーを主役に据えることが多いのですが、全体を見たときにスニーカーも全体に馴染んでいるようなイメージですね。表現が難しいのですが、、、主役になりすぎないというか、このスニーカー履いていればいいでしょ。っていうのはあまり好きじゃないですね。」

佐藤:「ビリーズとしても、スニーカーショップなのですがトータルでの提案をしたいと思っています。先日HYPE FESTに行った時、限定系のスニーカーを履いている人たちがすごく多かったですね。もちろんそれを否定するつもりは全くありませんが、東京の人達の方が上手にコーディネートしてるなって思いました。」

平本氏:「そうなんですね。ハイプするスニーカーを履いていれば良いと思っている考えは僕も好きではなくて、たとえレア物じゃなくても文脈まできっちり考えてトータルでコーディネートしている人を見るとカッコイイなって思いますね。もちろんハイプするスニーカーを僕も否定している訳ではないのですが、それにはしっかり正解となるコーディネートがあるんだよって思います。」

佐藤:「そうですね。個性が無くなってきているように写っていて少し寂しさを感じています。個人的にレア物も好きだし、お店でも取り扱っていますけど、そうじゃないスニーカーにもっとスポットをあてて今の盛り上がり方じゃない、また別の流れを作っていきたいって考えています。もちろん中にはそういうスニーカーが好きな方達もたくさんいるのも知っていますけど。」

平本氏:「確かにそうですね。インスタグラムが一つの指標になってしまっているのも僕的には疑問を感じています。本来自分で楽しむものだなって思うので。」

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2018年ストリートファッションのトレンドについて

ヨーロッパのブランドが気になっています。

佐藤:「話題が大きくてすみませんが、今のストリートのトレンドについてどう感じていますか?」

平本氏:「一概には表現しづらいんですけど、ここ何年か裏原宿の影響を受けたアメリカ西海岸のストリートブランドの勢いがすごくあって、僕も親交があって好きなんですけど、最近少しマンネリ化しているように感じています。新たに今だとヨーローッパブランドの流れが気になっています。イギリスのブランドであったり、今履いているSTONE ISLANDもそうですしね。」

佐藤:「先日、青山にもお店できてましたもんね。その流れは僕もすごく感じています。確か馬場さんも気になるブランドとしてSTONE ISLANDの名前挙げてましたね。」

平本氏:「音楽シーンでいうと、USのラッパーの人達ってバレンシアガとか、プラダもそうだと思いますけど派手なものを取り入れるのが上手だなと思っています。一方でイギリスのグライムシーンを牽引しているスケプタの雰囲気が今すごく僕の気分にハマっていて、洗練されているという言葉で表現するのが正しいか分かりませんが、スタイリッシュに見えますね。NIKEさんからAIRMAX DELUX SKリリースしていて、すごくカッコイイなって思いました。」

佐藤:「出てましたね。素朴な疑問ですけど、トレンドって実際どうやって発生しているんですかね?」

平本氏:「色々な発生や派生の仕方があると思うので、断定はできませんが、僕が思っているのはトレンドの発信源って、周りに流されずに意識しないで自信を持って自分が好きなものを着ていたり、スタイルを表現している人達から生まれていると思っています。それを知らず識らずのうちに周りの人が影響されているんだなと感じます。」

佐藤:「なるほど。確かに自分のスタイルを確立している人ってめちゃくちゃカッコイイですよね。」

平本氏:「カッコイイですよね。なので、今のトレンドをひとくくりに表現するのは正直難しいですよね。スタイルを持たれた方は多くいるので。」

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佐藤:「平本さん自身のトレンドはどんな流れですか?」

平本氏:「一つの流れとしてワントーンコーディネートがあって、僕はその中にセーフティカラーを取り入れるのが、好きですね。前々からあるコーディネートだとは思うのですが、今シーズン、プラダのスポーツラインのリネアロッサとかカニエウエストのカラバサスシーズン、タカヒロミヤシタザソロイストでもセーフティカラーのアイテムをリリースしていたりシュプリームでもセーフティオレンジ色のコートをリリースしていましたね。なので、ストリートスタイルでは1点でも2点でもセーフティカラーのアイテムを取り入れると今シーズンの雰囲気になると思います。」

佐藤:「ワントーンコーディネートは確かに流れありますね。そこにセーフティカラーを合わせるというのは確かに今シーズンっぽいですね。スニーカーは取り入れやすいですね。」

平本氏:「そうですね。さらにトータルで見た時に色合わせで他のアイテムも小物とかインナーで差し色を取り入れると、ぐっと今っぽくなりますね。」

佐藤:「意地悪な質問かもですけど白いスニーカーの場合、色合わせや色の取り入れ方はどうすれば良いですかね?」

平本氏:「例えばですけど、セーフティカラーのソックスを合わせるとカッコいいと思います。スケプタのMVを見ると白のワントーンで合わせていて、それもカッコいいんですけど、先ほどと同じになってしまいますが、さらにもう1アイテム取り入れると良いですよね。」

佐藤:「コーディネートをするのにソックスも重要視していますか?」

平本氏:「もちろんしています。今日も黒いNIKEのソックスを履いているのですけど、バスケットラインのソックスで、デザインが気に入ってます。」

佐藤:「サイズ感のトレンドはどう感じていますか?」

平本氏:「これだけ多くの選択肢が出来た中で、もはやどのサイズ感も定番化したかなと思っています。コレクションブランドのデザイナーが表現しているサイズ感はその人の表現の仕方のひとつと捉えているので、それがトレンドだと思うのは違うのかなって個人的には思っています。」

佐藤:「確かにその捉え方もありますね。その人なりのスタイルがあれば割と自由でいいのかもしれませんね。」

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今回のエクスクルーシヴアイテムを見た感想

今のトレンドにぴったりハマっていると思います。

佐藤:「正直そこまで意識はしていなかったのですが、今回のエクスクルーシヴアイテムは今の流れにハマってません?自分で言うのもあれですけど、、苦笑。」

平本氏:「すごくハマっていると思います。タイミング的にバッチリだと思います。今の僕の格好に合わせたいですね。このアイテムのインスパイアはどこから来たものですか?」

佐藤:「去年アメリカに行った時に工事している人達の服装を見て、オレンジ色とかリフレクターの感じとかが凄くカッコいいなって思ってこれをスニーカーで表現出来ないかなって思ったのがきっかけですね。今までも見て来たであろう光景ですけど、その時は何故か印象が強かったですね。」

平本氏:「そうなんですね。それもあるのかな、リアルなワークのリフレクターとかのギミックがすごく良くて今シーズンっぽいなと思います。先ほどから話している、まさにセーフティカラーのオレンジが差し色になっていますね。」

佐藤:「当初のデザインではテープの位置が違ったのですが、企画している中で最終的にこっちの方がカッコいいかなと思いこの位置にしました。」

平本氏:「差し色がキャップにも使われているし。全体的にまとまる感じがします。」 」

佐藤:「元々サンプリングさせてもらったイヤーキャップにはオレンジ色は無かったのですが、トータルで提案をしたかったので裏地にオレンジ色を使いました。このリフレクターも良い感じに効いていると思います。ソックスにもリフレクターを使っています。」

平本氏:「本当にいい感じです。まさに今っぽい雰囲気です。ソックスも合わせたいですよね。最近、またパンツの裾にソックスを入れるのが気に入っています。 これくらい長さがあると、どんなアレンジでもいけそうで幅が広がって使いやすくていいと思います。」

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エクスクルーシヴアイテムのおすすめコーデは?

やっぱりワントーンで合わせたいですね。

佐藤:「こういうハイカットのスニーカーで全体的に色を活かすならどんなコーディネートがいいですかね?」

平本氏:「クロップド丈のパンツは相性が良いと思います。ソックスをしっかり見せて。秋冬で足が見えちゃうと少し生っぽくなりすぎてしまうのでソックスを効かせて欲しいですね。フルレングスのパンツであれば、先ほどの話ですが、裾を入れてしまうのがカッコいいと思います。」

佐藤:「今日の平本さんのコーディネートに黒はバッチリはまりそうですが、こっちのコヨーテだとどんなコーディネートがオススメですか?」

平本氏:「やっぱりベージュのワントーンコーデですね。もちろん差し色を加えて。少し意識をすれば、意外と簡単に出来ると思いますよ。」

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今リリースされているアイテムで気になるアイテムは?

NIKE AIR MAX95 SNEAKER BOOTS

平本氏:「まさに差し色として、色合わせで履きたい一足ですね。」

reebok RUN R96

平本氏:「この間仕事でも使わせてもらったのですが、とにかく万能ですね。どんなスタイルにも合う一足です。」

NIKE M2K TEKNO

平本氏:「これも万能だと思います。シルエットはダッドスニーカーですけど、オールホワイトなのでどこか洗練されている印象も好きです。」

スニーカーショップに望むところがあるとしたら、どんなところでしょうか?

セレクトショップらしさがあるといいですね。

佐藤:「コンセプトを持って提案型のスニーカーセレクトショップとして日々試行錯誤を繰り返しながらお客様に喜んでもらえるお店作りをしています。平本さんが望む形はどういったお店ですか?」

平本氏:「冒頭の話にも似てきてしまいますが、トータルで提案してもらえるといいですね。もちろんスニーカーショップさんなので発信の仕方はアパレルショップさんとは違うと思いますが、オシャレは足元からっていう言葉があるように、スニーカーを軸としたトータルの提案をして欲しいですね。やっぱりスニーカーショップさんにしかない視点があると思いますし、それはスニーカーショップさんにしか出来ないと思います。」

佐藤:「確かにそうですね。僕たちもそれは日々意識しています。今回のエクスクルーシヴアイテムもカプセルコレクション的に洋服は無いのですが、トータルの提案を意識しました。」

平本氏:「スゴくいいと思います。あとは、カルチャーやブランドの背景までもお客さんに教えてもらえるようなスニーカーショップがあると、ストリート全体の活気につながると思います。今だと指名買いのお客さんが多いのかなという印象なので、それは一つの流れとしていいと思うのですが、佐藤さんも冒頭でおっしゃっていたように別の流れとしてそういうお店があってもいいのかなって。ただサイズを出してくれるお店とは違くて、セレクトショップであればお客さんも一緒に成長していけるようなお店が理想的ですね。」

佐藤:「まさに指摘して頂いた通りで、お客様の知識量もすごいですから、スタッフ間同士の情報シェアに努めています。そこにビリーズらしい提案や発信をプラスして行きたいですね。今後のショップスタッフや情報発信に期待しててください。」

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¥15,000+tax

Interviewer : BILLY'S ENT PR 佐藤  Photo : Akira Onozuka  Writer : Yusuke Kigawa (ALLTHUMBS inc.)