映画やドラマなどで、気になる存在として注目を集める俳優・中島歩。映画や音楽、
ファッションへの愛や好奇心が強いという一面を持つ中島に、
自身を形作ってきたカルチャーについて自由気ままに語ってもらう本連載。
第四回目は二十代以降に出会ったダブとアコースティックサウンドの魅力について。
音楽の幅が広がったきっかけは、レディオヘッドだと思う。2008年の「IN RAINBOWS」の来日公演の客入れの音楽でずっとダブをかけていたんです。当時の彼らは相当ダブから影響を受けていたから、僕もそれを聴いて「なんだこれ、かっこいい」なんて思って。勉強していくうちにリー・ペリーとか、キング・タビーといったミュージシャンを知っていきました。
ダブの魅力は、意味なんかいらなくてただ気持ちいいだけでいいということ。サンプリングを使ったいわゆるコラージュのような作り方で、いわば二次創作。教授(故・坂本龍一)も昔細野さんのラジオで言っていました、「ダブで右脳の音楽に初めて触れた。メロディーもないし、本当に意味がないけれど、これがいいんだ」と。映画や写真もそうですが、“いい”という感覚に言葉なんかいらないんですよね。
もうひとり、僕にとって大きな存在となっているのはブラジル音楽の第一人者でもあるアントニオ・カルロス・ジョビン。二十代半ばで叔父さんに教えてもらった『ストーン・フラワー』という70年代のアルバムには衝撃を受けました。ルディ・ヴァン・ゲルダーという有名なエンジニアが録音をしていて、とにかく音がいい。特に、2曲目のイントロに入るピアノのリヴァーブが素晴らしいです。ダブ的な感性とも共鳴するし、ジャズにも通じるアンサンブルの良さが生きている。ブラジル音楽とアコースティックサウンド、そしてジャズの魅力を一気に浴びて、ここから聴く音楽が一気に広がったような気がします。
さらに、オーディオに目覚めたのもここから。アコースティックサウンドにハマると、より生々しく、さもそこで演奏しているかのように音楽を聴きたくなってくるんです。オーディオ好きにジャズ好きが多いのはきっとそういうことなんだと思う。当時は渋谷や新宿へ映画を観に行ってはその帰りにレコード屋に寄って、買って帰るというのが習慣になっていました。今思うと、すごく豊かな生活ですね。
最近はアンビエントや静かな音楽が家では多いです。反対に車に乗るときは、爆音を楽しんだりして。今日は雨で渋滞していたけれど、マイルス・デイヴィスをかけていたらなんだか映画のワンシーンのような気分になったりして。「雨の渋滞も悪くないか」なんて気持ちになりました。そういったいろんな効能があるところが音楽の魅力だと思います。
1988年10月7日生まれ、宮城県出身。2013年に美輪明宏主演舞台「黒蜥蜴」で俳優デビュー。NHK朝ドラ「花子とアン」(2014)、「あんぱん」(2025)、映画『いとみち』(2021)、『偶然と想像』(2021)などに出演。2026年にはテレビ東京「俺たちバッドバーバーズ」で初主演、NHK大河『豊臣兄弟!』にも出演中。