ビリーズ トウキョウ 中島歩 みちくさ連載 中島歩連載 第五回「僕と、落語。」後編

映画やドラマなどで、気になる存在として注目を集める俳優・中島歩。
映画や音楽、ファッションへの愛や好奇心が強いという一面を持つ中島に、
自身を形作ってきたカルチャーについて自由気ままに語ってもらう本連載。
第六回目は、お気に入りの演芸場から、ビギナーにもおすすめの落語の楽しみ方について。

演芸場の雰囲気や距離感で楽しみ方が変わる。

 新宿末廣亭はとにかく雰囲気がいい。外観も内観も昔ながらの空気が残っていて、落語の古典的な世界に浸れるところが魅力です。周りには飲み屋も多いし、落語を観てからそのまま飲みに行くという休日も最高ですね。

 個人的に好きなのは、池袋演芸場。あそこはとにかく小さくて狭いから、噺家の息遣いや肌の質感まで間近で感じることができるんです。自分が噺家だったらあまりにも丸裸すぎて怖いって思うくらい。ちょっとした乱れも全部バレちゃうから集中力が必要なんだけれど、それは客席にも伝播して集中力のあるお客さんが多い印象。もちろん昔ながらのいつも寝てるおじいさんとかもいるんですけどね。

一緒に観ることで発見があるのも落語の魅力。

 寄席では短い演目が沢山あって、ベテラン噺家による古典落語から今の社会を風刺した新作落語まで話の振り幅も広い。なかには「これも芸なの?」って思うような一発芸とかもあったりして。きっといろんな感想が生まれるし、誰かと一緒に観たら「この人こんなところで笑うんだ」とか、「全然笑わないじゃん」なんて相手の新しい一面が知れるんじゃないかな。案外、デートコースとしても粋な場所だと思います。

 昼から夜までずっとやっていて、常に板の上で誰かが話しているからいつ入ってもいいし、いつ出てもいい。まだ落語を観たことがないという人には、変に下調べせずにお化け屋敷みたいな感覚で楽しんでもらえたらって思いますね。

中島歩
Photography / Yuto Kudo
Stylist / Kentaro Ueno
Hair & Make up / Takeharu Kobayashi
Edit & Text / Mikiko Ichitani
中島歩

 久しぶりに末廣亭に来て、こうやって落語について話していると、少しずつまた落語の足音が聞こえてくるような気がします。ここ数年で真打に昇進した先輩や後輩もいるし、いつか一緒になにかできたらいいな、なんて妄想したりして。もちろんやるからには、また稽古や勉強をしないといけないけれど、そういう機会を持てるならぜひ挑戦してみたいです。

中島 歩(なかじま あゆむ)

1988年10月7日生まれ、宮城県出身。2013年に美輪明宏主演舞台「黒蜥蜴」で俳優デビュー。NHK朝ドラ「花子とアン」(2014)、「あんぱん」(2025)、映画『いとみち』(2021)、『偶然と想像』(2021)などに出演。2026年にはテレビ東京「俺たちバッドバーバーズ」で初主演、NHK大河『豊臣兄弟!』にも出演中。