ビリーズ トウキョウ 中島歩 みちくさ連載 中島歩連載 第十回「僕と、旅。」後編

映画やドラマなどで、気になる存在として注目を集める俳優・中島歩。
映画や音楽、ファッションへの愛や好奇心が強いという一面を持つ中島に、
自身を形作ってきたカルチャーについて自由気ままに語ってもらう本連載。
ラストとなる第十回目は、旅と重なる人生観や自身の考える旅の醍醐味について。

できないことを嘆く大人にはなりたくなかった。

大学生のとき、友部正人というミュージシャンの「どうして旅にでなかったんだ」という歌を聴いて、すごい衝撃を受けました。そういうふうにできなかった過去を振り返るような大人にはなりたくないと思うようになって、モデルや俳優といった世界に飛び込んだんです。そういう人生の選択も旅と通じるものがありますよね。

道を選ぶ場面というのは、旅先でも生活でも数多にあって、その先で危なっかしい選択に飛び込むことができるかが人として大事なのかなって思ったりして。ルー・リードも「Walk on the Wild Side(ワイルドサイドを歩け)」って歌っているし。

振り返ったときに感じる、旅の醍醐味。

バックパッカーにも憧れたけれど、できなかったですね。僕の大学の友達で世界中を旅しているやつがいるんですけど、この間10数年ぶりに「歩くん、アマゾン行かない?」って連絡をくれて。そんなアイデア考えたこともなかったんだけど、「うわ、行きたい!」って反射的に思っちゃいました。とは言っても、仕事もあるし、なかなか気軽に行けるわけじゃないんですけどね。年をとってくると元気もなくなってきちゃうから、こうやって撮影でいろんなところに行けるのは嬉しいです。

どんな経緯であれ、旅の良さというのは振り返ったときに感じるものなんだと思います。当時は退屈だったり、怖い思いをしたとしても、ふとした瞬間にあの場所は良かったな、なんていい思い出に変わっていたりするから。勇気を出して、ワイルドサイドを歩けば自分ができることも広がると思います。ここまでやっていいんだとか、こんなこともできるんだって、身をもって知ることができる。それもまた旅の醍醐味なんだろうな。

中島歩
Photography / Yuto Kudo
Stylist / Kentaro Ueno
Hair & Make up / Takeharu Kobayashi
Edit & Text / Mikiko Ichitani

自分を鍛えるという意味では安全な道ばかりを選ぶのではなく、危険な状況に身を置くことも大事なんじゃないかなって思うんです。

中島歩

中島 歩(なかじま あゆむ)

1988年10月7日生まれ、宮城県出身。2013年に美輪明宏主演舞台「黒蜥蜴」で俳優デビュー。NHK朝ドラ「花子とアン」(2014)、「あんぱん」(2025)、映画『いとみち』(2021)、『偶然と想像』(2021)などに出演。2026年にはテレビ東京「俺たちバッドバーバーズ」で初主演、NHK大河『豊臣兄弟!』にも出演。

中島歩