・人が優しいところ
海外での生活経験が豊富な望月氏。
その国々で感じ得た事も多くあると言うが、人の優しさは他の都市と比べ飛び抜けていると言う。
「僕、実はそんなに東京が好きじゃないんですよ。。苦笑」
という前置きがありつつも
「静岡の片田舎で生まれ育って、音楽がやりたくて東京に出てきました。
ただ海外で生活したいという願望が強く、ニューヨークやロンドンに住んでいた事もありました。
どの街も、もちろんすごく楽しかったし色々な良い経験も出来ました。
けれど、やっぱり東京の面白さに気づいて、帰ってきたんですけど。
そこで感じたのが、なんだかんだ言っても人が優しいです。
そこはどの街と比べても飛び抜けてると思います。
人への気遣いだったり、ひとつひとつ丁寧ですよね、東京の人は。」
・場所でいうと、今は砧ですね
「引っ越し魔なんですよ、僕。
今まで東京の色々なところに住みました。
目黒区や渋谷区、世田谷区の別の場所にも住んでました。
その時々の自分の状況と生活スタイルにあった場所を選んでました。
どの場所も好きですけど、今の僕の状況には砧が合っていると思い、選びました。
子供が生まれたこともあり、この公園もそうですけど子供を育てる環境、僕の生活スタイルとしては
最適だと思っています。」
・仕事があるということかな
「スタイリストという仕事柄、どうしても地方だと難しいところはありますよね。
といって海外に出ても、向こうだとエディターがスタイリングを組んでしまったり、
もちろん言語の問題もありますが、どうしてもカメラマンやヘアメイクさんとは状況が異なってくるので
スタイリングの仕事という意味で東京は、おかげさまで恵まれています。」
![インタビュー写真1](/s_assets/img/usr/freepage/btm/bmtc_detail/vol19/photo1.jpg)
「ブランドも多くあって、ひとつひとつのクオリティも高く良いものがすごく多い。
受け手側の意識もとても高く、ファッションに気を使っている人やファッションが好きな人が
世界の中でもズバ抜けて多いと思います。
そういった意味ではファッション大国になったなと感じますね、日本は。
その中でもやっぱり東京はスゴいと思います。」
色々な街で生活し、多くのファッション感に触れてきた氏がそう感じているのだから、
かなり説得力のある内容だなと思った。
![インタビュー写真2](/s_assets/img/usr/freepage/btm/bmtc_detail/vol19/photo2.jpg)
その人の個性と洋服とを掛け合わせ、
マッチングさせる事で演出される氏の世界観は、とても幅広い分野で賞賛を得ている。
そこにはブレないこだわりがあった。
「スタイリストの仕事は22年やらせてもらっていて、
正直22年前とやってる事は、ほとんど変わっていないんですよ。
もちろん頂けるお仕事の幅は広がりましたけど、
自分の好きな事だったり物だったりってほとんど変わっていなく昔と一緒ですね。
基本的に上品なものが好きなんですよ。
けどストリートのモノも、もちろん好きなので、
それをいかにモードに昇華させるかという事に常にこだわっていますね。
どうしてもストリートのものって、どちらかというと雑に扱われてしまう部分があると思うんです。
そのものとかをどこまで上品に見せる事が出来るか、感じさせる事が出来るかを強く意識しています。」
自身が通って来た道、多大な影響を受けたカルチャーも自分なりに演出していきたいと語ってくれた。
「例えば、昔からパンクとか、グランジのカルチャーが好きなんですけど、
上品とは相反する部分が、どうしてもあるカルチャーだと思うんです。
けどそれを僕のフィルターを通して、どうしたら上品に見せられるか、
洗練されたファッションというステージに上げられるかという事をずっとやってきました。
最終的に上品に見せる事が僕のこだわりですね。」
![インタビュー写真3](/s_assets/img/usr/freepage/btm/bmtc_detail/vol19/photo3.jpg)
![インタビュー写真4](/s_assets/img/usr/freepage/btm/bmtc_detail/vol19/photo4.jpg)
「ファッションが好きなので、仕事全般的に楽しいです。
その中でも音楽とリンクしている仕事が楽しいです、音楽が好きなので。
ミュージシャンのスタイリングだったり、CMやPVの仕事は楽しいですね。」
22年という長きに渡る活動歴を持ち、そこには確固たる豊富な経験や人脈を持つ氏は、
スタイリング以外でも新たな仕事に取りくんでいる。
「ROLLING STONEのFASHION DIRECTORを最近していて、スタイリングはもちろんですけど、
ミュージシャンの方をよりファッションとして見せる事の絵作りをやっているんですけど、とても楽しいですね。EYESCREAMでは蜷川実花ちゃんと若手の俳優をモデルに招いて、
その俳優さんたちをどう演出していくかを追求しています。
他には、照井さんだったりムラジュンだったり、海外のミュージシャンとかにインタビューをしています。
自分の中では新しい取り組みなので、楽しんでやらせてもらっています。
結局は音楽と絡んでいたりするので。
ほとんど友達なので、昔話から近況の話、洋服の話とか、
気負わず普段話してるみたいな空気になって、とても楽しんでますね。
飲んでるときみたいな。笑」
氏ほどの活動歴を持ちながら、今も尚新しい事に取り組もうとしている姿勢に背筋が伸びる感じがした。
自身のファッションの楽しみ方についても、こう話してくれた。
「白のスタンスミスを選んだとしても、自分なりの履き方をしたいなと。
定番のアイテムを他の人とは違う履きこなし方や合わせ方をする事で、自分らしさも表現できる。
例えば、今履いているニューバランスもスウェット上下にエプロンつけて履くと、
また違う印象になると思うんですよ。
そもそもスウェットパンツにエプロンというのもあんまり見た事ないですしね。
そういうハズしが好きですね。人とは違うぞというアピールも含め。笑。
昔からそうやって自分なりにハズして、人とは違った表現を楽しんでいます。」
![インタビュー写真5](/s_assets/img/usr/freepage/btm/bmtc_detail/vol19/photo5.jpg)
普段はあまりスニーカーを履かないとのことだったが、
逆にそんな氏が選ぶスニーカーに興味が増した。
「正直あんまりスニーカーは履かないんですけど、このハイカットはおしゃれアイテムだと思います。
合わせるアイテムが重要なんですけど、これにスキニーパンツというのがすごくおしゃれだなと思うんです。
パンツのシルエットや丈感はすごく難しいバランスだと思いますけど、
これを履きこなせたら相当かっこいいですね。
ガンズアンドローゼスのスラッシュがまさに絶妙なバランスで履きこなしていて、しかもハットにライダースで。それは子供の時にかなり衝撃を受けました。」
丈感のバランスは本当に難しいなと思い、聞いてみた。
「うーん、、、このベルクロにちょうど乗っかるくらいがカッコいいと思います。
これが全部被っちゃったり、裾が溜まっちゃったりしちゃうとなんか違うかなと思うんです、
そのバランスはかなり難しいですね。
ダサくなるかカッコ良くなるかの境目ですね。」
絶妙なバランス感に驚いたが、ファッションというのは細部までこだわって、
それが形になってハマった時に一番カッコ良くなるんだなと思った。
最後に、今の氏を形成するルーツの一部分を話してくれた。
「90年代ブームが前からあると思うんですけど、僕の中でのファッションアイコンは
ガンズアンドローゼスとレニークラビッツとニルヴァーナ、レッドホットチリペッパーズですね。
この人達に憧れていたので、それを僕なりに今っぽく表現していきたいなと思っています。」
![インタビュー写真6](/s_assets/img/usr/freepage/btm/bmtc_detail/vol19/photo6.jpg)
![インタビュー写真7](/s_assets/img/usr/freepage/btm/bmtc_detail/vol19/photo7.jpg)
Photo : Akira Onozuka
CHOICE ITEM : NIKE AF1 ULTRA FLYKNIT MID